【ご相談内容】
父親が亡くなり、父親の口座が凍結されました。母親の介護施設費用を、父の口座から支払っていたため、介護費用を支払えなくなる事態になりました。口座の凍結を解除してもらうにはどうすればよいでしょうか?
Q 父親の口座が凍結されて、母の介護費用が支払えない。口座凍結をどうにかできないか?というご相談です。
A 介護費用を払うためのお金の工面の仕方は他にもいろいろ方法はあるとは思います。とりあえずこの凍結してしまった父の口座をどうにかできないか?という視点からお話しますと、やり方としては3つ考えられます。
Q とりあえず解決策がある、ということですね?
A まず一つ。一番簡単ですし、ある意味では理想論的な解決方法ですが、相続人全員の承諾を得ること。手続的には、銀行に提出する書類に相続人全員のサインをもらうことです。法的には遺産分割協議を成立させることですね。ただ、おそらくはこの方法が難しいから、今の困った状態にあると予想できます。
Q 何か事情があったりするかもしれませんね?
A 例えばですが、相続人としてはご相談者、母親のほかに、ご相談者の兄弟姉妹がいると予想されるのですが、関係性が悪いとか、連絡がとれないとか・・・。遺産分割協議であれ、銀行関係の書類であれ、相続人が一人でも欠けていると成り立たない(或いは銀行が受け付けない)からですね。
あと、銀行の書類には、父親の預金全額を振込むための代表口座を申告する必要があります。ただ、その口座をだれの名義にするかで意見が一致しないこともありますね。
Q では、他の方法は?
A 手っ取り早いのは、ご相談者お一人で、銀行で一部のお金の払戻手続をすること。2019年ころからそういう法律上の制度が認められています。口座凍結はされてるのだけど、一部だけ払い戻しを受けるのです。
ただ、払戻額の上限があります。その金融機関の口座残高の【3分の1】を基準に、その払い戻しを受ける方の【法定相続分】をかけた金額までです。例えば上記のような、ご相談者にお兄さんがいるケースでは、ご相談者の法定相続分は4分の1ですね!? そして、父親の口座残高が300万円だったとします。そうした場合、300万×3分の1×4分の1=25万円を払い戻せることになります。比較的スピーディに解決はできますが、残高の多寡にもよりますが、【3分の1】のさらに【法定相続分】では、ぐっと引き出せる金額が小さくなります。介護費用の何か月分になるのか不安は残りますよね!?
Q もう一つあるんですよね?
A 逆に、今度はスピーディーさにはだいぶ劣ってしまうのですが、遺産分割協議も無理そうなので、とにかくは遺産分割調停を裁判所に申し立てます。それに加えて、裁判所に対して、とりあえず仮でいいから分割してほしいという内容の申し立てをします。
最終的に裁判所が判断するのですが、預貯金の一部(あるいは全部)の払戻を許可してもらうのです。この場合は先ほどの残高の3分の1 かつ、法定相続分に限るという数量的な上限がないので、ある程度の金額を引き出せる可能性は高まります。ただ、いかんせん裁判所を経由した手続である以上、時間はかかります。方法論は3つありますが、いずれにせよ一長一短はあります。
いずれの方法であっても、相続人全員の戸籍謄本は必須の書類ですので、戸籍の取り寄せは早急に行うべきですね。
