【ご相談内容】
私の父はいろいろと本を出版しています。そんなに有名ではないですが・・・。最近、家族間で今後の相続について話をしました。不動産やら保険やら。そこでふと話題になったのが、父が書いた本の著作権のことでした。父が亡くなった場合、この著作権というのはどうなるのでしょうか?
Q 父親が本を書いたのだけど、父が亡くなった場合のこの著作者の権利はどうなるの?というご相談ですね。
A 端的には、著作権というのは相続の対象になるのか? 一般的には不動産や預貯金、保険などが話題にあがりやすいですが、著作権というのも例えば遺産分割協議の対象になるのか?ということですね。結論を言うと、相続の対象となります。相続放棄手続をとらない限りは、誰かが相続します。あるいは複数の家族で相続することになります。
Q なるほど。何か特別な手続きなどが必要ですか?例えば名義変更とか。
A 著作権というのは、その表現物、著作物(本、音楽、絵)などを作成した時点で著作権という目に見えない権利が発生します。何か登録手続したことによって権利として認められる、というものではないんです。なので、お父様が作品を完成させた時点で、お父様はその作品の著作権を取得します。
そして、著作権者であるお父様が亡くなったという事実、すなわち相続という事実が発生すれば、その時点で、相続人に直ちに移転することになります。目に見えない状態で。
Q じゃぁ、父親が亡くなったら、その時点で、ご相談者が著作権者になる、ということ?
A そう。相続放棄をしなければ、の話です。 例えば、父が亡くなった場合を想定して、相続人が母と、相談者、相談者の弟の3名が相続人であるとした場合、原則論的には、母親が2分の1の著作権者、相談者と弟が4分の1ずつの著作権者ということになります。ただ、そんなややこしいことは相続人間でも望まないでしょうから、それは著作権というのを金銭的に評価して、著作権者を誰か一人に一本化する代わりに、他の相続人にはお金を渡すなどの処理をすることになるでしょう。
Q ただ、名義変更手続きが必要ないとなると、周りの人からはだれが著作権者かわかりませんよね?
A 著作権法上、登録制度というのがあります。 むしろこの登録をしていないと、周りの人に対して、私が新たな著作権者だ!と主張できない仕組みです。もともとの著作権者である父親としても、それを受け継ぐ相続人としても、その著作物を利用したいと考えるビジネス相手いずれにとっても、その登録がある方が安心しますよね。著作権の問題は、主に文化庁が取り扱っています。そのHP上で、著作権の登録手続きに関する書式などが準備されてるのでそれを利用してみてください。
Q そうか。本を書くということは出版社なども関係してきますもんね?
A たいていは、出版社との間で著作物利用許諾契約というものを結んでいると思います。著作権者は出版社ではなくあくまで執筆者とするというもの。そうすると、この著作物利用許諾契約をだれが引き継ぐのか、契約当事者はだれになるのかということも決めなきゃいけないし、出版社側にも伝える必要がでてきます。
ちなみにですが、著作権は永遠に相続の対象となるわけではありません。元の著作者が亡くなってから70年で時効が成立し、皆さんで享有できることになります。
