債務整理(破産)と自家用車の関係

【ご相談内容】

債務整理の際の自家用車についての相談です。家計が厳しいので破産などの債務整理を考えているのですが、車のことが心配です。車のローンの支払も残っているからです。よく、「破産すると家を失う」なんて聞きますが、車の場合はどうなりますか? 車を手放すとなると、通勤や日常生活がもの凄く不便になるので、とても気になっています。

A 今回のご相談者、おそらくは車のローン以外に、例えば消費者金融や信販会社などからの借り入れなども残っていらっしゃるようです。

 車を手放さないといけない可能性がある場面はどういう場面か?という視点で考えますと、基本的な考え方としては、【ローンがあろうが無かろうが車を手放す可能性はある】と思った方が良いです。逆に言えば、【ローンがあろうが無かろうが、手放さなくてイイ例外的な場面は残っている】というような理解の仕方でも良いかもしれません。

 【ローンが残っている場合】と【既にローン完済の場合】に分けて考えましょう。

Q ご相談者は自動車ローンが残っている、ということのようです。

A 自動車ローンが残っている場合、契約書上、その車はあなた所有ではなく、販売店や信販会社などの所有物となっていると思います。車検証上の所有者欄がご自身の名前で無いケースは多いはず。自動車ローンが残っている期間中はあくまでご自身は販売店や信販会社から借りているような感じなんです。【所有権が留保されている】という表現があるのですが難しいので割愛しますね。

 だから、ローンが払えなくなった以上は返還しなければならない、これが基本的なスタンス。

Q では、この場合に手放さなくてイイ例外的な場面とは、どういう場面でしょうか?

A ご相談者自身ではない誰かにローン残債を一括(早期に)全額支払って貰い、つまりはその人に買い取ってもらうことです。で、その買い取ってもらう人の名義にして、ご相談者がそれを使わせてもらうことにする流れです。この話、結構調子のイイ話であることは間違いないので、これをお願いできるような人には限りがありますよね。誰かというと、近しい身内だったり信頼してくれている勤務先の人。

Q では、ローンが残っていない場合にはどうなりますか?

A 当然、販売店や信販会社に返還する、という理屈にはなりません。

 しかし、基本、車は売却すれば金になるわけです。「手持ちの現金がありませんだから破産します」と言ったって、債権者側からすれば”じゃぁ車売って金に換えて債権者全員に少しでも返済しなよ”と言いたくなる。発言内容はともかくも、発想自体は決して法的に間違いではない

 ということで、債権者(又は管財人)の手によって、車を売却、つまりは手放す可能性はあります。

Q では、その例外的な場面とは?

A その時点での車の市場価値が低い場合。これは、先ほどの【ローンが残っている場合】の例外その2でもあるのですが、仮に売るにせよ、その車を引き取って査定して短期間に売りに出す必要がある。そこに人件費や運送費・保管費用などの諸経費がかかるわけですね。諸経費をかけてまで売れるかどうかもわからない車を売りに出すのは勇気がいるわけです。

 この場合には、債権者(や管財人)は売却をあきらめる方向に流れます。

Q なるほど、ローンがあろうが無かろうが、その例外的条件に当てはまるかどうかが重要ですね?

A はい。やはり車は生活必需品ですよ。この例外的取扱いのパターンが組めるかどうかは検討しておくことは非常に重要だと思います。

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