要チェック!~「トイレ利用制限」最高裁判決のポイント

8月3日のラジオでもお話したのですが、7月11日付の最高裁判決に関してです。経済産業省に勤務する性同一性障害を抱えた原告が、国(実質は経産省や人事院)を訴えた裁判です。

最高裁は、国が原告職員(身体的性別は男性、自認する性別は女性)の女性トイレの利用を制限する措置は違法だ、と判断しました。

利用制限の内容を例えばの事例で説明すると、原告職員の職場がビルの10階にあったとします。この場合、”その10階と上下1階、つまり9~11階の女性トイレ”の利用を制限する措置を取ったのですが、これを最高裁は違法と判断しました。

その判断の中で一番大事な点は、最高裁は、”9~11階の女性トイレの利用を制限したことそれ自体”を直ちには違法と考えていない点です。2名の裁判官の個別意見に現れた表現を用いますと、それ自体は「急な状況変化に伴う職場の混乱等を避けるためのいわば激変緩和措置」としてひとまず違法視するまではいかない、と考えているようです。

この最高裁が違法とした点は、”一旦、トイレの利用制限を施した後、全く見直しをしてこなかった。そのままの状態が4年以上経過してもなお、再検討をしてこなかった”という点なのです。

階数にして何フロア分の利用制限なら合法か或いは違法か、という問題意識ではない点が一番大事だと思います。

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