意図していない隣地関係トラブル

【ご相談内容】

隣家との境にある石垣に関する相談です。田舎にある祖父の土地を相続しました。お隣の土地との間の石垣は相当昔に設置されたようです。これまた相当昔からある植木の根が地表近くに大きく張りだしてしまっている関係で、石壁が多少、お隣方向へ傾斜しています。お隣から「どうにかしてくれ」と結構な頻度で言われるためストレスになってるのですが、何をどうすれば良いのでしょうか?

Q 古い石垣がお隣に張り出しているため、お隣からクレームが来た、という状況でしょうか!?

A 公園の花壇とかでも見かける。ガーデニングとか目隠し用に植林をしていたけど、長年、管理しないままになると、大きく根っこが張り出して、周辺の壁やブロック・煉瓦を圧迫する、で、倒れるわけではないが傾いてはいる状態なのでしょうね。

 で、仮に、石垣が倒壊する恐れがあるというような場合には、隣地所有者は、土地の所有権に基づいて妨害予防請求をすることができます。つまり、倒れないようにどうにかしろ、と。まして、実際に倒壊してお隣に損害を与えてしまった場合には、ご相談者側は土地工作物責任といって損害賠償責任を負う可能性が出てきます。

Q そうなると、直ちに改修工事をした方が良さそうですね?

A この手の問題は最終的には法律問題と言うよりはシンプルにご近所づきあいの問題ですから、早め早めに手を打つというのが一番ベターだとは思っています。ただ、今回の石垣は相当古いようです。ご相談者も隣人もあくまでこの石垣はご相談者側のモノ、いわばご相談者側の敷地内にあるモノという前提で進んでおられるようですが、一応念のため、隣地との境界線の確認はしておくべきでしょうね。過去の地積測量図を見て、現状との照合が必要でしょう。

Q 境界線を確認したところ、実は隣人のモノだったと言うこともあり得る、ということですか?

A ありえます。うそでしょ!?って思うかもしれませんが、地方に行くと、結構アリます。

 例えば、お隣さん同士それぞれが、先祖代々土地を受け継いできた者同士というのであればまだいいのでしょうが、その土地が第三者に転々と譲渡されてきたというような場合、現在の所有者が、過去の(例えば戦後、昭和の時代)土地の権利関係・利用関係など経緯を知らなかったりするので、今回の石垣があたりまえのようにこちら側の持ち物として理解されてきた、なんて話もあるわけです。で、仮にお隣の持ち物であるとわかったら、状況は逆転することになりますし、現状の石垣をどうするかではなく、そもそも隣地との境界線はどこにあるのかというのをまずは決める必要が出てくる場合もあるのです。

Q では、もし、石垣が実際にご相談者の所有物、ご相談者の敷地内にある設置物であることがわかった場合には、どうしますか?

A 倒壊の危険が無いからそのままでイイじゃないか、と言う選択肢もあるとは思いますが、おそらく長続きはしないでしょう。何もしない、けどお隣からヤンヤ言われるという状況が続くのは相当なストレスになるはずです。先述のようにスピーディーな対応がベターな対応ではないでしょうか?

 まずは工事内容を確認して、見積もりとって、工事スケジュール確認して、それを隣人に伝えて、場合によっては隣人に一時的に協力(我慢)してもらう場合があることの説明などもしたほうが良いでしょうね。

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