慰謝料請求(交通事故・労災)の特徴その①

【ご相談内容】

相手車の前方不注意が原因で追突事故に遭い、【むちうち】になり通院治療をする羽目になりました。相手さんがあまり深刻に考えていないように映り、とても腹立たしく、「さっさと慰謝料払ってくれ」とでも言いたくなります。ただ、保険会社の話では「慰謝料は最後に問題となってくる」とのことで、すぐには請求できないようです。これはどういう事でしょうか?

A 相談者が加入している保険会社のアドバイスであれ、相手方保険会社の見解であれ、おおよそそのような見解になると思います。

 相手の不注意でけがをしちゃった、入院しないといけなくなったなどの身体上の被害を被った場合、相手(の保険会社)に対して賠償金の請求をすることになるわけですが、その際の相手(の保険会社)との交渉順序の問題として、まぁ、最後の方でする話になるのかなぁというところですね。

 最初の方でしてはいけない、という事でもないんだけど、まずは治療を終わらせてからがいいんじゃないの?ということですね。

Q ひとまずは治療に専念したほうがいいだろう、ということでしょうか?

A 人道的というか倫理的な観点からすればそれが当然とも言えますし、第三者の人間としては、被害者に対してそのように説明するのがいいでしょうね。

 で、人身被害を伴う賠償金問題の場合に慰謝料を請求する際には、通院期間や入院期間がどれくらいかかったかとか、頑張って治療を続けたけど完全には治らず後遺障害が残ったのかそれとも完治したのかという点を踏まえて、慰謝料額の大枠がはじき出されるという特徴があります。交渉の最初の段階で慰謝料の話を持ち出すこと自体は悪いわけではないのですが、その後の治療経過や治癒したのかしなかったのかという、医療用語でいうところの「予後」を検討したうえで算盤をはじくことになる、いうなれば金額の多寡が決まってくることになるんです。

Q 交渉の最初の段階で慰謝料の話をしても、金額が定まりにくい、ということですね?

A そう。交通事故に限らず、例えば労災であったり、或いは賠償金ではなくても保険金(人身傷害保険など)のはじき方として、例えば、【1日当たりいくら円 × 何日間】というはじき方をご覧になった方もいらっしゃると思います。最後になってみないとわからない、ということですよね。入通院が必要となるような心身の故障の場合の特徴ですね。

 例えば名誉棄損による慰謝料請求。相手の発言行為により自分の名誉を害され甚だ心外だという怒り、この慰謝料を算定する際には【腹が立った日数×〇円】というような計算はしません。10万円なら10万円、100万円なら100万円という金額を根拠に早い段階から請求をすることになる。認められるかどうかは別として。

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