慰謝料請求(交通事故・労災)の特徴その②

【ご相談内容】

息子がバイク走行中に転倒事故(=自損事故)を起こし、2人乗りしていた同級生にケガをさせてしまいました。幸いにも同級生のケガはかすり傷程度で済み、仲の良い友人という関係もあるので、ご両親に対して物損扱いにしてほしいと頼んではみました。そうしたところ、物損扱いのままなら慰謝料100万円、人身扱いなら50万円という連絡が来ました。これって妥当な金額なのでしょうか?

Q 事故の慰謝料のご相談です。先日も慰謝料に関するお話をしていただきました。

A その時は、慰謝料はどのタイミングで、どのような計算方法ではじくものなのかというお話をしました。そして、けがの程度、治療以後の予後、通院期間や入院期間などがメルクマールになる、日額いくらという計算もある、というお話をしました。

Q ところで、今回、「物損扱い」「人身扱い」という言葉が出てきてます。そして物損扱いなら100万円、人身扱いなら50万円と金額に開きがありますね? これはどういうことなのでしょうか?

A 今回の事故をどのような態様の事故として位置付けるかの話になります。

  単にモノが壊れた、例えばバイクそのもの、電柱、フェンスなどが壊れたに過ぎない、ケガ人はいない…という捉え方ならば物損事故=物件事故といいます。一方、ケガ人・死傷者が出た事故は人身事故といいます。

 ケガをさせてしまった側からすれば、人身事故となると運転免許の違反点数に響くし、罰金・懲役など刑罰の可能性も出てくる。だから、軽症の場合、できれば物損にしてほしいという誘因がある。

 他方、ケガを被った側からすれば、軽症であったにしても、治療費や慰謝料などが自動車保険から支払ってもらえる可能性がぐんと高まる。ただ、今回のご相談者のように加害者被害者の関係性によっては「物損扱いにしてほしい」…だったら「そうしとこうかな!?」ということもママあります。

Q で、問題はこの100万円とか50万円とかが妥当か?というお話です。

A あくまで想像の話です。

 相手(怪我を負った同級生)としては、人身扱いにしてほしくない、つまり物損事故扱いにしてほしいという相談者サイドの心持ちを逆手にとって、その分高く慰謝料を請求している可能性(つまり、足元を見ている可能性)があるようにも取れるのですが、ただ、すくなくとも①同級生はかすり傷程度であるというお話を前提に、加えて、②前述の、慰謝料ってけがの程度や通院日数によるよねという話を踏まえますと、50万100万というのは高額にすぎるのではないかなとは感じます。

 もちろん私の知らない事情もあるでしょうから絶対の回答ではないです。ただ、交通事故あるあるではないですが、バイク運転中に歩行者にけがをさせてしまった、その歩行者のけがはかすり傷程度で全治10日間だった…という場合であっても、治療費慰謝料込々でも50万というはちょっとね…。

Q そうなると、どういう対応が良いのでしょうか?

A 相手さんからの金額を飲み込むという対応もあるとは思いますが、むしろきちんと、息子さんの起こしてしまった事故を人身事故として処理し、慰謝料をめぐるトラブルになった場合には弁護士対応をお願いするというのも一つの正攻法でしょうね。

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