リフォームトラブルの落とし穴その2

【ご相談内容】

前回の家のリフォームに関する相談の中で、「最初からやり直してくれ」といえない場合があるというくだりがありました。そうは言っても、家主は、普通は建築の素人ですし、リフォーム業者のミスが原因なのですから、なかなか納得できないのでは?もう少し教えてもらえますか?

Q 先週のご相談では、リフォーム工事にところどころ施工不良がみられたので、「全面的にやり直してくれ」といえるかどうかというお話でした。

A その工事の進み具合によって、原則、最後まできちんと仕上げてくれとか、不良な個所を修復してくれということができるというお話をしました。そして、例外的に「修復してくれ」とは言えない場合があるということをお話ししました。

Q どういう場合が「修復してください」と言えなくなるのでしょうか?

A 簡単に言えば、不良個所というのが、あまり大きな不具合ではなくて、修復するとなるとかえって費用が嵩む場合です。

Q その点をもう少し教えてもらえませんか?

A 仕事上、不動産取引とか動産の売買取引をされていたりとか、比較的最近家を購入した方などは聞いたことがあるかもしれないけど、【瑕疵担保責任】という問題に関わります。

取引の対象物に【瑕疵】がある場合、つまり、契約内容に沿わない不具合とか構造上・性質上安全性に問題がある部分、そういったマイナス部分が発生した場合には、そのマイナス部分に関して、契約の相手方に責任追及できますよというルールがあります。そして、その責任追及の一つとして、「やり直せ」「修復しろ」ということが言えるんです。これが原則ですね。

ただし、その瑕疵、つまりマイナス部分が重大でないと言える場合、かえって修復要求するとお金がかかる場合には、「やり直せ」とは言えない、というのもルールとして定められているのです。

Q その「瑕疵」というのが重大か否かというのがポイントですね?

A 重大な瑕疵、重大なミスといえるか軽微なミスといえるかが一つの分かれ道になるのですが、大事な点がある。それは、重大であるか否かは客観的に判断しましょう、という点です。主観的な観点で判断するんじゃないんですよ、ということです。

Q どういうことですか?

A 家主の心情として、自分の宝である家をめちゃくちゃにされたという気持ち・怒りというのがどうしても先行しがちです。だからこそ、‟今回のミスは、私からしてみれば当然に重大なミスだ!”と言いたくなるでしょう。しかし、これは重大か否かを主観的な視点で決めていることになります。

大事なのは重大なミスか否かは客観的に判断する。契約内容とか安全性とか経済的価値の損失の度合いなどそういう観点で判断していくことになります。その裏返しとして、家主の‟俺の家をボロボロにしやがって!”という気持ちというのは、なかなか考慮されない・・・、置いてきぼりにされるんです。だからこそ、今回のような「納得できない」という投書につながるのだろうと思います。

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