マンション管理費問題 × 相続問題!(二つ目の軸)

【ご相談内容】

先日のマンション管理費問題を聞かせていただきました。「所有者が亡くなり、その息子さんが相続した場合であっても、滞納管理費を全額請求できない場合がある」というお話でした。それは “ 複数のご兄弟で相続した場合だ ” と。今、私どものマンションも同じような問題を抱えており、その亡くなった御主人には奥様とお子さん1人がいらっしゃいます。つまりこういう場合に、滞納管理費を一人の相続人へ請求できないという事でしょうか?

Q 前回のお話では、「区分所有者が亡くなった。息子さんが住み続けている。滞納管理費を請求してよいか?」というご相談でしたね?。

A 実際に相続をしたのかどうかを法的に調査をしたうえで、請求をすべきです。ただ、どうやら複数でこの部屋を相続したであろうと法的に考えられる場合、全額請求できないことがあるというお話でした。そういう意味では、今回のケースもその可能性はあります。

Q となると、相続したと思われる方が奥様とお子さん1人という事ですから、半額しか請求できない??

A この問題、多少ややこしいので前回お話をしなかったのですが、マンションの滞納管理費問題は最低でも2つの軸で考える必要があります。まずは、法的に見て相続人は誰か、単独相続と言えるか複数人による相続と言えるかという分析です。これが先週のお話でした。

もう一つの軸は、問題として取り上げられている管理費の滞納分はいつの時点で発生したものなのか、亡くなる前から発生したいたことなのか、相続をきっかけに発生したのか、相続前か後かの軸です。

Q つまり滞納分の発生時期が相続前か後かで結論が違ってくる!?ということですね?

A そう。①まず相続前にすでに発生していた場合。これはわかりやすく言うと、父ちゃんが生きていた時にすでに管理費滞納が生じていた。その後、母と子でマンションを相続。こういう場合には2分の1ずつ支払う義務がある。

②他方、父ちゃん死亡後に管理費の滞納が生じる場合。母はマンションに住んでいるが支払う気なし。子も東京にいてマンションのことはほったらかし。そういう事情が重なって管理費滞納が生じた場合、この場合は法的に見たら母親と子の二人でマンションを相続したであろう状態になっているので、管理費については母と子が連帯して支払う義務がある。つまり、どちらかにでも全額請求をできることになる。

Q ということは…先ほどの例で、①お父さんが生きていた時にすでに管理費の滞納が生じていて、且つ、②亡くなった後も引き続き管理費の滞納が発生していた場合は、ややこしくなりますね?

A そうですね。相続発生前の分については法定相続分を念頭に滞納額を割り振る必要があり、相続後の分については、それぞれの請求額にそのまま全額を計上する。ややこしいんです。

大規模修繕は金額は大きいですが、適正な見積りと適正な工事が保証されるのであれば、理事会や総会決議でとんとんと決めていくことができる。管理費問題は、それ自体が少額、しかし相続人多数、その人達の歩んできた人生も様々です。方向性がたてにくい、スケジューリングも立てにくい、費用もかさんでいきやすい。だから管理組合としては結構な悩みの種になってしまいます。

PAGETOP