マンション管理費問題 × 相続問題!(一つ目の軸)

【ご相談内容】

私はマンション管理組合の理事をしています。とある部屋の方が管理費や修繕積立金などを滞納しており困っているのですが、どうやらその方は既にお亡くなりになっているようで、息子さんがそのまま住んでいるようです。登記簿上、息子さんへの名義変更はされておらず、区分所有者名簿にもお名前は載っていませんが、この滞納分を息子さんに滞納分の請求をしても良いのでしょうか?

Q 管理費の滞納がある。所有者は亡くなられているが、その息子さんに請求をしても良いのか?というご相談です。

A たいていの場合、相続人と考えられるでしょうから、将来の方向性としては、息子さんに請求をしていくんだろうなぁと言うことにはなりますが、法的な観点からの調査はしておいた方がよいですね。

Q 法的な観点からの調査とは?

A このマンション(例えば101号室としましょう)の区分所有権を相続した人は誰か、或いは誰と考えられるか?という調査です。相続人となる親族は誰か?ではないですよ。

法的に考えて、この101号室の所有権を相続した人、つまり現在の区分所有者は誰か?という調査です。単に息子さんだから、そこに住んでいるからといって、この区分所有権を相続したとは限らない。

Q では、相続していないのに、ここに住んでいる場合とは??

A 例えば他に兄弟がいるパターン。で、兄弟間で遺産分割協議をしてその人が101号室の区分所有権は相続した。でも、この101号室に長年住んできた兄弟への何かしらの配慮でもって、そのまま住んでもらっているというパターンです。この場合、101号室に今も住んでいる息子さんは、管理組合との関係では、この部屋の賃借人でしかないので、滞納分の請求の相手方ではありません。

Q お子さんだから請求して良い、という単純な話では無いんですね?

A 反面、実際にその息子さんが101号室区分所有権を相続した、或いは相続したであろうと考えられる場面では、息子さんに請求できるわけです。ただ、滞納額全額を請求できないこともあります

Q どういう場合ですか?

A それこそ他に相続人となったご兄弟がおり、どうやら数名で相続した状態であろうと考えられる場合です。ちょっとややこしいんですが、このご相談内容の文面から察する限り、元々の所有者、おそらくはご両親のどちらかの代から、管理費等の滞納があったと思われます。

例えば、もともとの所有者が亡くなられた時点での滞納が50万円だったとする。そうすると、今住んでいる息子さんに50万円を請求できるわけではない。兄弟の数に応じて、つまり法定相続分に従って金額が割り付けられますから、2人兄弟の場合には25万円、3人兄弟の場合には16万円程度しか請求できないということになります。そして残額については、それ以外の兄弟に請求をしていくほかない、というややこしい話になっていきます。

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