親のしつけはどこまで? (監督義務)

Q さて、今日は、いつもの法律相談ではなくて、小さい子供を持つ親の責任についてのお話ですね?

A 週末(平成27年3月21日時点)の報道によると、子供が他人にケガをさせたケース(裁判)で、“ 親は、子供の引き起こした事故について、どういう場合に責任をとるべきか? ” という点に関し、近々、最高裁判所が何らかの最終結論を出す可能性がある、とのことでした。

Q どういうトラブル(裁判)だったのですか?

A 小学生が、学校の放課後に校庭でサッカーゴールに向かって、フリーキックをして遊んでいた。ところが、そのボールがそれて、校庭の外に出ちゃったところ、びっくりした老人が大怪我をした(後、死亡した)というトラブルです。

Q 親の責任とか学校の責任などが問題になりますね?

A 今回の裁判では、親の責任が焦点となっています。そして、法律上は、“ 子供が起こした結果について、親は、日常全般に亘って責任を取る必要がある。ただ、親が子供を日頃から教育( しつけ、監督 )をしていたにもかかわらず、子供が人をケガさせた場合、親の責任は問われない ”と規定されています。

Q じゃぁ、親として日頃からどういう【しつけ】をしておけば良いのか?ということがテーマになりますね?

A そうです。今の時点(高等裁判所の判断内容)では、親は、子供に対して “ サッカーボールが学校外に飛び出すおそれのある場所では、キック練習をしちゃいけないよ!”という【しつけ】( 監督義務 )があり、それを怠ったと判断されています。

Q でも、子供だったら、どうしてもゴールをハズしてしまうことだってありそうですが…?

A そうですね。お子さんだって、別に悪意があって、やたら目ったらボールを蹴っていたわけではないでしょうね。サッカーゴールというのは、それを目掛けてシュートを決めて点数を入れてこそのゴールです。ゴールに向かってシュート練習をすること自体、ある意味当たり前の行動です。

“ ゴールに向かってボールを蹴ってはダメよ!” なんていう【しつけ】は、親としては考えにくい。

もっと言えば、“ 当たり前の行動であっても、その行為が他人をケガさせてしまうような一握りの可能性でも残っている場合には、その行為をやめさせなければならない ” というような【しつけ】( 監督義務 )があるというのであれば、子供の活発な活動を萎縮させてしまいそうです。

となると、親としては、“ じゃあどの程度しつけていれば良いのよ!” ということになるわけでして、その点について、近々、最高裁が何かしらの指針を出す予定と考えられます。

( 平成27年4月12日付の要チェック!をご参照下さい )

文責 弁護士 和田拓郎

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