増えるマンション相続と無関心への対処法

【ご相談内容】

分譲マンションの管理費滞納の相談です。あるお部屋の所有者が亡くなられ、管理費などの未払いが生じています。相続人がいらっしゃるようなのですが、この問題に関心を持ってもらえません。どのような解決法があるでしょうか?

Q マンション管理費の未払が生じているが、その相続人が対応してくれない。どうすれば良いかと言う管理組合さん側からのご相談ですね。

A 管理費や修繕積立金、駐車場・駐輪場使用料などの未払ですね。相続人が県外に住んでいる、相続人が複数いるがお互いに面識が無い、相続人が高齢でいろいろと動き回る気力がない、県内に住んではいるけど自分の自宅があって、わざわざ別の不動産を持つ必要が無いなど、マンション一室の相続が難航することはままあります。

Q まず管理組合としてはどうします?

 正攻法としては、相続人に対して滞納管理費を支払ってくれと請求することですが、拒まれてしまっては、今後の見通しが全くつかない。訴訟も一つの方法ですが、時間とコストだけがかかってしまう。訴訟までしたが払わないとなるといったい何だったのか?という気にもなるでしょう。

Q 他にはどういった方法が考えられますか?

A 後日、売却することを念頭にした交渉でしょうね。相続人の側で保有するのが興味がないのであれば【売却しましょう。そのために協力して下さい】という話の持って行き方ですね。

その具体的方法として、①まず、遺産分割協議を勧めるわけです。

Q 遺産分割協議を進めて、その後どうする?

A その目的は、相続が発生しますとマンション一室の不安定な権利関係状態が続くため、所有者を確定させる点にあります。とある相続人の単独所有にするか共同所有にするかということです。せっかく売却自体は見込めそうな状況があったとしても、売主となる所有者が確定しなければ不動産登記ができない、という現実的な問題が控えているからです。

Q なるほど、全くの無関心を貫き通すというのは難しいようですね。

A 遺産分割協議ですが、先ほどのように相続人が多い、遠方にいるなどの事情があると、やはり停滞する原因となってしまう。

②となると、相続人に相続放棄を促すという方法もある。相続放棄をすると相続権はないことになりますから、相続人からすると、気が楽になるわけです。

Q 管理組合としてはマンションを引き継ぐ人がいなくなると言う点が不安になりません?

A 確かに。ただ、今度は、そのマンションの権利関係を誰も引き継ぐ人がいないということを理由に相続財産清算人という弁護士などに入ってもらって、売却手続を進めていくというやり方があります。

 もちろん相続放棄3ヶ月間、後の売却見込み可能性があることという条件が備わっているような場合に、この方法は十分にアリだろうと思います。

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