リフォームトラブルの落とし穴その1

【ご相談内容】

リフォーム業者に、古い自宅のリフォームをお願いしたのですが、ところどころ施工不良の箇所があり、業者は「値引きさせていただきます」とのこと。こちらとしてみたら、私の大事な家が、意味もなく汚された気分ですので、「全面的にやり直せ!」と言いました。そういうことって法律上も許されるのでしょうか?

Q 『マイホーム』は一生に一度の高い買い物ですから、ボロボロにされたら誰だって怒るでしょうね?

A リフォームトラブルに遭われた方は、「こんな家に住みたくない」「家をむちゃくちゃにした」なんておっしゃるもので、お怒りとしては相当に大きい部類に入ると思います。「最初からやり直せ!」という気持ちになるのは当然でしょうね。

Q 法律上、「全面的にやり直してくれ!」と言えるものでしょうか?

A ‟全面的にやり直す”という言葉のニュアンスが、法律で規定されたどの文言にピッタリ収まるかという検討が必要ではあるのですが、例えば、とある表現として「やってないところは最後までやりなさい」とか、別の表現として「施工ミスがあるところは、修復して、予定通りの内容に仕上げなさい」という請求はできます。ただし、一つ目のような請求をするにも、二つ目のような請求をするにも、請求が通用する時期(期限)というのがあります。

Q ん?どういうことですか?

A リフォーム工事にも、当然、一連の作業プロセスがあるわけですが、その段階に応じて、リフォーム業者に対して主張できる内容が異なってくるということです。リフォーム工事中であれば、ちゃんと最後までやり遂げなさいというニュアンスの請求になるし、リフォーム工事が一通り完了してしまっていたら、修復すべき所は修復しなさい、というニュアンスになるのです。

Q なんだか難しいですね?

A この点は、かなり法的知識が要求されるところですので分からなくて大丈夫です。むしろ知っておいていただきたい点は、本心としては修復(工事の全面やり直し)をしてもらいたくても、修復請求が認められない場合があるという点です。

Q どういう場合には、「修復して下さい」と言えなくなるのですか?

A リフォーム後の施工不良といっても、その不具合の程度は、大なり小なりあるわけで、そこまで大きな不具合ではないのだけど、これを補修するとなるとかえって当初よりもお金がかかってしまうような場合です。ざっくりと言えば、大金をかけて補修してみたところで、その割には家の状況・状態に変化がない場合です。

Q でも、不具合を招いたのは業者さんなのですから、不具合の程度に関係なく、責任をもって補修すべきでは?

A 請求ができなくなることの根拠は、結局のところ、費用対効果が薄い・経済合理性がないという点に求められます。法律上の定めなのです。とはいえ、家主は相当お怒りになっているわけだから、このあたりの可能性を予め知っておくかどうかは非常に重要だと思います。

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