ラジオ相談

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本稿は、ラジオリスナーの皆様へ、わかりやすく法律問題を解説した放送内容を書き起こしたものですので、性質上、言葉の引用に正確性を欠く部分もありますこと、ご了承下さい。
  • 〈結婚式のゴンドラ〉から〈墓場〉まで・・・

    2015年7月15日

    【ご相談内容】

    他界した私の夫の納骨についての相談です。私の夫の地元は鹿児島ではなく、広島なのですが、広島の実家のお墓に入って貰うか、それとも私の方で、私達夫婦2人の新しい墓を作って入って貰うか、親戚同士でちょっとしたイザコザになっています。広島の実家サイドから見れば、私は、所詮 “ 嫁 ” という立場ですから、広島の実家サイドの言うことを聞いて、夫の納骨は、彼の実家のお墓にいれなければいけないのでしょうか?

    Q 遺骨は、故郷のお墓に入れるべきか?奥様(ご相談者)の傍らで管理・埋葬すべきか?という問題ですね?

    A 法律的な観点から言えば、“ 遺骨・お墓・仏壇といったものを誰が引き継ぐべきか ”ということです。

    Q 相続に関する問題ですね?

    A 厳密に言えば、少し異なります。

    相続問題というのは、亡くなった人の財産を、法律で定められた優先順位に従って、①. まずは、その妻とお子さんが、②. お子さんがいらっしゃらない場合には、お父様お母様が、③. お父様お母様がいらっしゃらない場合には、ご兄姉達が承継する・・・という一つの大きな枠組みがあります。この場合の重要な視点というのは、“ 誰が、相続人という法律上の立場に該当するか?”という点です。

    他方で、遺骨やお墓の引継ぎの問題は、“ 誰が、相続人に該当しますか?” ではなくて、“ 誰が、遺骨やお墓など管理するのがふさわしいですか?” という視点で検討することになるものです。

    Q ということは、《 納骨やお墓を引き継ぐ人 》《 法律上の相続人 》は必ずしも一致しないことになりますね?

    A そうです。そういう意味では、今回のご相談者は、御主人の相続人に該当しますが、必ずしもご相談者が遺骨等を引きつぐものでもないし、引き継がなければいけないわけではないんです。

    Q ただ、ご相談者は、ご自身で墓を準備したい(引き継ぎたい)と思われているようですが・・・?

    A ですので、一旦、《 相続人 》というキーワードから離れた上で、“ 誰が引き継ぐのがふさわしいのか?” を検討することになります。そして、ご相談者が引き継いで管理するのがふさわしいという諸々の事情があれば、ご自身で埋葬されることは構わないんです。

    Q “ 嫁という立場は〈蚊帳の外〉であって、ご主人のご実家に納骨しなければいけないわけでもない ” ということですか?

    A そうです。お嫁さんの傍らにお墓があっても良いんです。そのためには、親戚間で十分な話し合いが必要にはなりますが、話し合いをしてもドウニモナラナイという場合には、裁判所の手続で、“ 誰が準備した墓地に埋葬するのが社会的に見て合理的か ” という観点から決めて貰うこともできるんです。まぁ、なかなかそこまでに至るケースは少ないと思いますけど・・・。

     

     

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