ラジオ相談

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本稿は、ラジオリスナーの皆様へ、わかりやすく法律問題を解説した放送内容を書き起こしたものですので、性質上、言葉の引用に正確性を欠く部分もありますこと、ご了承下さい。
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    2015年7月15日

    【ご相談内容】 

     以前、このコーナーで、「飲み屋のツケは1年だ」というお話しを聞いて、早速、数年ぶりに顔を出したお客さんに向かって、それとなく支払いをお願いしたのですが、そのお客さんは「あぁ、そうだったね。支払うよ」と言って支払ってくれました。払ってくれたのは有り難いのですが、とっくに時効になっているのですから、逆に、なんだか人を騙した気分になり、お金を受け取ってしまっても良かったのだろうかと不安になりました。大丈夫でしょうか?

     

    Q “時間がだいぶ過ぎてしまったのに、代金を請求したら支払ってくれたもんだから、かえって気が引けてしまった”ということですね?時効が成立して、代金の支払い義務は無いはずなのに、お金を受け取っても大丈夫なのですか?

    A 大丈夫です。実は、そこに一般人が持つ感覚と、法律上の感覚にズレがあるんです。

    Q といいますと?

    A 一般的な感覚とすれば、1年経てば、自動的に時効が成立し、お店側は請求できなくなるし、お客側も支払う義務は無くなるという感覚だと思うんですね。ひょっとすると、“むしろ請求しちゃイケナイ”くらいに思われている方もいらっしゃいます。しかし、法律的な感覚からすれば、不正確な表現なんです。

    Q 法律的な感覚では、どのようになるのでしょうか?

    A ただ単に時間が経過しただけでは、時効というのは成立しないんです。だからお金を請求することはできるんです。重要なのは、請求を受けたお客側が「それはとっくに時効だから支払う必要は無い!」と反論してくる場合、その時に初めて、お店の代金請求権とかお客の代金支払い義務というのが消滅するんです。

      要するに、請求を受けた側が「そりゃ時効だよ」というリアクションがあって初めて、法律的に時効が成立した言うのです。ひとえに“時効が成立した”といっても、一般的な感覚と法律的な観点とでは、時間差が生じているんですね。

    Q ということは、単に、時間が過ぎただけであれば、代金を請求しても、人を騙しているわけではない?

    A はい。“代金を支払って下さいよ”という債権者の立場で行う当然の権利行使なのです。勿論、「それは時効だ!」と反論されたにも拘わらず、何度も請求をかけることは控えましょう。

      ちなみにですが、全ての場面で、時効が1年と捉えてはなりません。個人間のお金の貸し借りトラブルであれば10年、会社の売掛金トラブルなら5年、給料未払のトラブルであれば2年、商品の製造委託トラブルの場合も2年…というように、状況によって時効の期間が異なりますのでご注意を。

     

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