将来の後遺症が不安なとき・・・。

【ご相談内容】

中学生の息子が歩行中に事故に遭いました。相手は自転車に乗った学生でした。この事故で、息子は突き飛ばされて後頭部を強く打ちました。すぐに脳の検査を受けたところ、「今のところ異常はナイ。数か月後に再度検査をしたほうがよい」と言われました。学生同士の事故だったので、双方の親同士で連絡を取り合っているのですが、何をどう話してよいかわかりません。

A 被害者側ともなれば多少なりとも怒りや憤りなどもあろうかと思います。加害者側も人間ですの、人によって言葉遣いとか口調って違いますので、そこは丁寧に落ち着いて話してくださいとしか言いようがない。問題は〝何を賠償してくれ!と言えるか?”というお話です。

Q つまり、事故の加害者に求める賠償の中身、ということですね?

A 専門家によって分類の仕方は多少異なるとは思いますが、簡単に言えば、大きく4つに分かれる。①治療費、②修理費、③休業損害と④慰謝料

①まずは治療費。事故でけがをした場合に発生する費用ですね。

修理費。事故でモノが壊れた場合に発生する費用、車、自転車、バイク、携帯電話やメガネ、時計などに関係してきます。

休業損害。働けなくて一定期間収入が減ったことに対する補償。先日のラジオでは、先天性の障害を持ったお子さんの将来見込める収入をどうやって算定すべきかという大阪高等裁判所の判例をお話ししました。

慰謝料。入通院しないといけなくなった後遺障害がのこったという精神的苦痛に対する補償。

 治療費の話は当然出てくるわけですが、今回中学生のお子さんということですから、せいぜい携帯電話やメガネが壊れた・・・。あとは慰謝料の話ですかね?。

Q 今回、頭を強く打ったということで、脳の検査を受けたら今のところ異常ナシ、数か月後に再検査を勧められたようです。

A 問題はそこなんだろうなぁと思います。たとえ外傷は見当たらなかったとしても落ち着かないですよね。医学的に、事故直後に脳に傷害が発生するとは限らず、数週間・数か月経過後に何かしら発症するケースもあるようです。つまり、今は異常ナシだといっても将来に不安が残ってしまうという不安が残ります。

ただ、損害賠償の問題は基本的に金銭解決ですので、いくらかを支払ってもらうことで解決することを目指すことになります。

Q いつまで続くかわからない検査とその費用のことが不安になりますよね?

A そこがまさに交渉の主要な内容になるのかもしれません。被害者側としては将来の検査費用を見て欲しいというお気持ちを当然お持ちになりながらも、いつまで続くかわからない検査費用を相手が最後まで見てくれるとは思えない、逆の立場だったら(仮に自分が加害者側であったとしたら)いつまでも請求に応じていられない、という悩ましい心境もあろうかと思います。

 そうなると、これが絶対的な考え方では無いですが、将来的な検査費用の何回分かを見込んだ額を慰謝料という形で1回的に支払ってもらうか、或いは期間を区切ってその間までの検査費用、治療費を支払ってもらうか・・・。冷静な判断と交渉が求められる場面です。

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