PTA活動などにおける著作物の利用~保護者の目線

【ご相談内容】

小学生の子を持つ保護者です。PTA活動などについて教えて下さい。私の学校では年に4回、【PTAだより】を作成し各ご家庭に配布しています。保護者の方に少しでも興味や関心をもってもらうために有名な絵や写真、流行のアニメなどを挿絵に利用したいのですが、メンバーから「著作権の問題があるんじゃない?」という話もでています。やはり問題がありますか?

あと、お母さんたち有志で、低学年対象に【絵本の読み聞かせ】をしていますが、これも問題はありますか?

Q 二つの質問がありますね。①【PTAだより】に有名な写真などを載せてよいか?②【絵本の読み聞かせ】はよいか? 

なんとなくの感想ですが、学校教育の場であれば、著作物利用は意外と許されるんじゃないかな?って気もしますが・・・。

A 結論として、1つ目の【PTAだより】の話は ✕ 、2つ目の【絵本の読み聞かせ】は 〇 です。

Q PTA便りに有名な絵、写真や漫画を載せるのはアウト、ということですね? 学生さんが使う教科書にはたくさんの写真や絵や資料などが掲載されてますから、PTA便りも 〇 のようにも思いましたが…。

A おっしゃる通り、学生への教育上必要だから、学びの場面だから、という理由で、学校教育の現場において著作物の利用のハードルが一般的な場面に比べると低いのは間違いありません。教科書がその代表ですし、試験問題などもそう。ただ、そのハードルが低い理由は、あくまで教育の現場、教育の一環だから…という理屈が成り立つ場合です。わかりやすく言えば、【先生】と【生徒】がコミュニケーションを取る環境において、なのです。

PTAというのは教員と保護者の交流・連携団体という風に位置付けられると思いますが、PTAそれ自体が教育というのを担うわけではない。学校又は家庭での教育の場面において、より質の良い教育が子どもたちに施されますように、と目指す団体だと思います。だからこそ【PTAだより】というのは、教員と保護者殿間で情報や認識の相互共有を目的とした資料になりますので、いわゆる教育目的だから…というのは視点としては外れてしまう。

Q なるほど、じゃあ母親有志による【絵本の読み聞かせ】は、先生と生徒とのコミュニケーションの場面ではないから、著作権法上問題となるのでは?

A 確かに、保護者はあくまで保護者であって先生ではありませんから、書物の朗読は本来的にはNGとなります。しかし、この問題は、実は1番目の質問とは違う視点が必要です。

単純に営利を目的としていないから合法、そういう結論です。シンプルに子供たちに絵本の世界を知ってもらうだけであってそこから何かのビジネスが始まるわけではない。大概、そのような活動はボランティアでしょうから、お金の臭いのしない著作物の利用場面ということになります。これが根拠です。

Q それならば、PTAだよりも営利目的じゃないでしょうから、写真など使ってもよいのでは?

A 著作権法上、非営利目的であれば著作物の利用は許されます、とは規定されていますが、実は、その利用の仕方(=利用方法)が限られています。利用方法として、【演奏・上映・口述(つまり読み聞かさ絵)】はOKですよ。複製コピー(=転写)していいですよとは書かれていないんです。

法律上の文言遊び、ロジック遊びですね (笑)

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