住宅ローンと養育費の二重負担!

【ご相談内容】

現在、妻と離婚の話をすすめてます。子どもがいるので養育費が発生するとは思いますが、私は、前から住宅ローンも支払っています。今後も私が住宅ローンを支払わなければイケマセン。となると、住宅ローンは残るわ、養育費は発生するわ…で、大変です。“ 住宅ローンが残っているから、少し養育費を安くしてくれ ”とは言えないでしょうか?

Q 住宅ローンが残ったまま離婚という場合には切実な問題ですね。

A 鹿児島あたりですと、ご主人とは別に奥さんがパートに出て、二人の収入で住宅ローンを支払い、子どもを育てるケースが多いですから、離婚した途端、一方の当事者が住宅ローン養育費も負担するというのでは、やはり荷が重い…ですね。

Q ‟ 住宅ローンがあるから養育費を下げて欲しい ”というのは、通用しますか?

A まず原則的な考え方ですが、“ 私には借金があるから養育費を下げてくれ ”というのは通用しません。親の都合で負ってしまった借金の返済があるために、子どもに対して十分な養育ができないというのでは、親子間の道義として許されないからです。ただ、借金は借金でも、住宅ローンの場合は少し考慮が必要になります。

たとえば、住宅ローンの残る自宅に、ご主人が住み続け、且つ、ご主人が支払い続ける場合を考えてみましょう。この場合は、借金を理由に、養育費を下げることは許されません。なぜなら、ご主人は単に、もともと夫婦共有であったはずの資産を独り占めできるだけの結果にしかならないからです。子供にとって何のメリットもないですよね?

Q では反対に、ご主人はローンを払い続けるが、奥さん子どもはその家に住む場合はどうですか?

A この場合は、毎月の養育費の額を検討するにあたって、住宅ローンを考慮する方向に話が進むでしょう。なぜなら、奥さんや子供さん側は余計な住宅費を負担しないままに生活できるわけで、他方のご主人は、別に家探しをしなくちゃならず新たな家賃などが発生する可能性があるからです。

Q どれくらい考慮できるんですか?毎月の住宅ローン全額マルマルですか?

A 夫婦の合意があればそれに越したことないが、裁判手続きの中では、なかなか全額控除するということは期待しないほうが良いでしょう。夫婦で話し合いがまとまらない場合には調停手続で解決をするのですが、唯一無二の基準があるわけでなく、夫婦間の諸事情にもよるので、住宅ローンをどの程度考慮するかは必ずしも単純ではないんですね。実際のところ、結果的にみれば、大方考慮された場合もあるし、ある程度考慮された場合というのもあります。

文責 弁護士 和田拓郎

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