【ご相談内容】
勤務先の社長から、‟ 将来、この会社を引き継いでくれ ”と打診されているのですが、私には多額の借金があります。社長には話してません。今は何とか返済していますが、将来、破産する可能性だってゼロではありません。そうなると、《会社の代表者にはなれない》という噂もあって、日頃お世話になっている社長に迷惑をかけることになってしまいます。破産をしないで済む方法がありますか?
Q “破産をすると社長になれない”という話に不安を持たれているようですが・・・。
A 結論から言えば、破産をしたからといって、社長になれないわけではない。破産したとしても社長になれます。
確かに過去10年くらい前までの法律では、破産をした場合、一定期間、会社の社長( というか、取締役 )になれないという法律の定めがありました。そうなると、最低でも半年から1年程度は、取締役や代表取締役( 社長 )に就任してはイケナイという縛りがあったんです。ですので、当時の話をする限りにおいては、‟ 破産をすると一定期間は社長になれない ”というのは、ある意味正しいと言えます。
ただ、現状は、法律( 会社法 )が少し異なっています。
Q 現在は、どういう法律のルールになっているのですか?
A 昔は、“ 一定期間( 半年とか1年とか )社長になれなかった ”というニュアンスでした。現在は、“ とりあえず、一旦、形式上、社長の立場から退いてもらうが、すぐに復活できる ”というニュアンスに変わっています。つまり、破産をした場合には、‟ 一応、社長や取締役の立場から降りてもらうが、再び周囲の人間からの賛同が得られるのであれば、すぐに再選してもらって、すぐにでも社長に返り咲く”ことができるのです。
Q ということは、破産をしても社長になれる、ということですね?
A 現在は、周囲の人間の賛同を得さえすればすぐに社長に復活できます。昔と比べて、退任期間のタイムロスが極めて短いのです。
Q ところで、その《周囲の人間》って誰のことですが?従業員ですか?
A 株主です。つまり会社に出資している人物。ですから、再選を果たすためには、原則、株主総会を開いて承認してもらうことが必要です。ただ、鹿児島だと、大企業の場合と異なり、身内の同族会社であったり、実質一人でやっている会社というのが多いでしょうから、結局、実質のところは、その従業員たちからの賛同ということになるでしょうね。となると、“おお~い、ちょっと集まって!私を再度取締役にしてくれ”という多数決をさっさと採れば、比較的すぐに復活できちゃうのです。
実務的には、役員再選任を決議した議事録の準備と退任・再任の登記をすれば済む、、、それくらい簡便なのです。
文責 弁護士 和田拓郎