隣の屋根瓦が・・・!(自然災害と損害賠償)

【ご相談内容】

台風で、私の家の屋根瓦が隣のお宅に飛んでしまい、「窓が割れた、賠償してくれ」と言われています。台風という自然災害が原因ですので、責任を負う必要は無いと思うのですが、法律的にはどうなのでしょうか?

Q 台風で瓦が飛んじゃったんだから、この場合は、しょうがないんじゃないんでしょうか?

A 一般的な感覚としてはそう思うでしょうね。特に迷惑をかけた側は。逆に、被害を被った側の場合、そういう気持ちはありつつも、台風だろうが何だろうが関係ないという気持ちだってあると思います。ただ、迷惑をかけた側も迷惑を被った側も憶えておきたい点があります。

Q どういうことを憶えておけば良いのですか?

A 一般の感覚からすれば、物(今回のお隣さんの窓)が壊された原因が、人為的なミスによるモノによるのか、それとも自然災害なのかということに目がいくと思います。そして、人為的なミスなら賠償、自然災害なら賠償しないという感覚になるでしょうね。つまり、自然災害か否かが気になるところだろうと思います。

しかし、民法という一般的な法律レベルでは、若干視点が異なります。その瓦とか看板とか石垣とかが、もともと台風が来れば吹っ飛びやすい状況にあったかどうかが重要視されます。つまり、台風の通り道となりやすいその地域において、平均的な規模の台風が来ただけでも、吹っ飛んじゃう状況にあったか、ということです。

Q 吹っ飛んじゃう状況、といいますと?

A もともと瓦が外れかけてた、看板がちょっとした強風でもぐらついていたなど、事前からの安全面に関する客観的状況。要するにメンテナンスが十分であったか否かが、まずは気になってくるのです。

Q ということは、自然災害が原因かどうかは重要ではない?

A 自然災害であるか否かということも大事です。ただ、“ 結論がall or nothing ではない ” というところが重要なのです。そもそも吹っ飛びやすい状況にあったかどうかがまず重要であって、その次に自然災害か否かということも大切になってくる。

結論としては、責任を負う負わないケースもあるし、責任を負うケースだってあります。その場合でも全額賠償のケースもあるし、一部賠償のケースがあり得るのです。

結論は2択ではなくて、3択なんだということがポイントです。

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