こんな形で給料未払が! (社会保険料の肩代わり)

【ご相談内容】

私が以前働いていた会社は、いわゆる“社会保険完備”の会社でした。社会保険を付けてくれたのは有難いのですが、その天引き額がとても高い…!! 退職してからわかったのですが、会社が負担する社会保険料も私の給料から引かれていたのです。返して貰いたいと思いますが、可能ですか?

Q ご相談者は、“ 会社が負担する社会保険料も給料から引かれていた ” ということですが、どういう意味ですか?

A 厚生年金、健康保険、雇用保険…それぞれの社会保険制度によって厳密には異なる部分もありますが、ざっくり言うと、とある従業員さんにかかる社会保険料は、その半分は、会社が、自分の会社のお金で自己負担しなければいけない。それを、会社のお金ではなく、従業員の給料で肩代わりさせたということだと思います。

Q つまり、その会社は、“ 手出し ”を免れた…ということですか?

A そう。となれば、当然、ご相談者としては、その分を返してくれ!ということになりますね。

Q それは可能ですか?

A 可能です。会社が負担すべき社会保険料まで自分の給料から天引きされたわけですから、それは言い換えると、“ 本来もらうべき給料より少ない金額が支払われた ” ということです。つまり、その分の給料は未払状態であるということになります。

ですので、「給料が支払われていませんよ!」ということで法的に請求することができます。

ただし、注意点があります。

Q どのような注意点ですか?

A いわゆる時効の問題です。「未払分の給料を支払ってくれ!」と言えるのは、その本来の給料日から2年間です。2年経つと、時効にかかり、請求できなくなります。その他にも10年という時効の問題もあります。

勿論、その時効の問題を跳ね返す法的な方法論は存在します。つまり、「2年経とうが、そんなの関係ない!ツベコベ言わず、さっさと支払なさい!」という歴とした法理論です。

ただ、念のため、2年という数字は憶えておくのが良いと思います。

 

文責 弁護士 和田拓郎

 

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