【ご相談内容】
私の家の近所にあるお店は、いつでも《店じまいセール》をやっています。確かにかなり安い値段で商品を売っているのですが、いつまでたっても「閉店」しません。“いつ、店を閉めるんだろうね!?”なんて話題になります。《店じまいセール》をやっておきながら、全然、閉店する気配がないのはマズイのではないですか?
A 閉店するかしないかは、専らその経営者の都合なので、店を閉めないこと自体は、特に違法とか不法という問題は生じません。ただ、閉店する気もないのに、長々と《店じまいセール》をやっている行為が問題となり得ます。
Q それはどうしてですか?
A 《店じまいセール》とか、《在庫一掃処分セール》なんて聞いたら、お客さんは、“商品がかなりやすくなっているのではないか?今のうちに買っちゃおう!”という心理になりやすいですよね!?
そういう一時の気の迷いがでてしまって、本来なら買わなくてもよい物を買わされることだってあるでしょう。
《閉店セール》が長引けば長引くほど、そのように冷静な判断を失ったお客さんが増えてくる可能性がある。お客さんを惑わせるような商品の売り方はダメだ!ということで法律違反の可能性がでてくるのです。
Q でも、そういう《店じまいセール》って、普段の価格よりは明らかに安いですよね!?いつも以上に高値で売るわけでないし、お客さんに損をさせてるわけではないから、許されても良いと思うのですが?
A 実際に値下げをしたのかどうか、どの程度値下げをしたのかどうかということを問題視しているのではないんです。あくまでそのようなお客さんの心理につけ込むような販売方法(売り込み方)はダメだ!という話なのです。
例えば、“当店通常価格1,000円のところ、週末に限り800円で販売!”なんて売り方をしたとします。ところが、実際は通常価格が900円だったとします。
Q 通常価格1,000円であろうが900円であろうが、お客さんからすれば、値下げにはなっていますね!?
A でも、お客さんに“アラッ、他の店は150円しか安くしていなかったけど、このお店は200円もお得!”と思わせる効果がある。本当は100円しか値引きしていないくせにね・・・。それでお客がこの店に流れる。
このように値下げをしたかどうかではなく、お客を誘惑させるような売り方がイケナイということなのです。
文責 弁護士 和田拓郎