【ご相談内容】
前回のお話で、ご自宅の庭に車が突っ込んできて、歴史のある石垣が壊されたということで慰謝料のお話をされていました。私も過去に似たようなケースがあり、ただ、石垣ではなく、犬小屋でした。おかげで、可愛がっていた犬も重症を負いました。このようなケースでも慰謝料は請求できたのでしょうか?
A このケースも、被害に遭った犬が“どういう犬”で“どのくらい飼っていたのか”などの具体的事情にもよりますが、ご時世的には、一般論としては、慰謝料請求は認められやすくなっています。しかし、亡くなったというわけではないので、慰謝料額は低いのではないか?とも予想されますね。
Q “今のご時世だと慰謝料が認められやすい”ということですが、具体的にはどういうことでしょうか?
A 先週、事故やいたずらによって「モノ」(物)が壊されたとしても、原則的に【物に対する精神的慰謝料】は発生しないとお話ししました。犬も同じ扱いです。なぜなら、犬は、法律上「人」ではなく(←当然ですが…)、その対義語の「物」として捉えられているからです。
Q つまり、昔は、犬も単なる「物」扱いされていたため、犬がケガしても、不幸に亡くなっても、原則的に慰謝料が認められなかった、ということですね?
A そう。ただ、いくら法律上は「物」扱いであるとは言っても、命ある動物である以上、大切にしなきゃイケナイのは当然ですよね?
ペットの飼主の側から言わせれば“私はこのペットにとても愛情を注ぎ、まるで家族の一員のようにかわいがってきた。にもかかわらず、慰謝料ゼロというのはあんまりじゃないか!”という話になりますね。
Q それで、今のご時世だと、慰謝料が認められやすくなっているということなのですね?
A そういうことです。ペットに対する愛情は今も昔も変わらないでしょう。
ただ、それ以上に、例えば、お子さんのいらっしゃらないご夫婦にとってのペットというのは子ども同然だったり、盲導犬や介護犬などのように、その人の毎日にとって無くてはならない存在の場合もあるでしょう。ペットの存在の重要性が、一昔前とは異なっているということです。