昨年の12月4日、福岡家庭裁判所が、親権者である母親が父親に子どもを会わせない(面会交流を拒否)ということで、親権者を母親➩父親へ変更する決定を出しました。
ごく一般的に、親権者変更が認められるケースというのは、
元々の親権者からの虐待が認められる場合、元々の親権者の下での生活では子どもの情緒不安や発達遅滞を招く場合など、子どもを、元々の親権者の下での生活から解放させてあげる必要性がある場合でした。
つまり、親権者を変更するということは、必然的に、子どもの生活拠点も変更されるんですね(要は、引っ越し)。
しかし、今回の福岡家裁のケース。
親権者は父親へ変更されましたが、子どもは従前どおり母親の元で生活するとのこと。
これは、一つに、元々夫婦間で決めた面会交流の条件 に協力をしてこなかった母親への制裁的意味合いも含まれるかもしれませんが、
今後色々な場面で、子どもに纏わる契約をする際に、(母親ではなく)父親の承諾が必要となってくるわけですから、どうしても父親との関わり合いが不可欠となってくる・・・。
となると、母親にとってみれば、自然と、子どもと父親が会う機会は増やさざるを得ない・・・。
その意味で、所詮ペーパー上の取り決めに過ぎない面会交流条件を、より実効的なものとさせる意味合いがありますね。
(平成27年5月18日付ラジオの話もご参照ください)
文責 弁護士 和田拓郎