先日の4月12日に、知財高裁(知的財産高等裁判所)が、「フランク三浦の商標登録は有効!」といった趣旨の判断を下し、ニュースになりましたね。“ え”っ! 本家フランク・ミュラーが負けた? ” と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
【フランク三浦】とは、時計好きならすぐにピンと来る、あの有名な高級腕時計【フランク・ミュラー】に影響を受けたのかどうかはわかりませんが、時計の種類によっては、外観がそっくりな作りの時計ブランドです( あくまで私の主観です )。
“ 文字盤の形状や数字書体のデザインがすごく似ているのに??・・・”
いえいえ、今回の判決の対象は、【商標】であって、【意匠】ではありません。
【商標】とは、商品名やブランド名を示す文字や記号です。【意匠】とは、産業的に利用されるデザインです。
例えば、トヨタ自動車の商標は「TOYOTA」であり ( トヨタ自動車株式会社 公式ホームページより) 、意匠は、レクサスやクラウンなどの車の形状それ自体のことですね。
今回の判決は、わかりやすくいえば、それぞれの時計の文字盤に表記された「フランク三浦」という文字と、「フランクミュラー」や「FRANCK MULLER」という文字から受ける印象によって、購買者が、フランク三浦の時計をフランク・ミュラー製のモノと勘違いするかどうか、が争点だったのです。
時計の外観デザインから受ける印象ではないですよ! デザイン性を争うという場合には、意匠法や不正競争防止法という、別の法律によって争うことになるんですね。
文責 弁護士 和田拓郎
( 追記)5月30日時点。「【フランク三浦】という商標が有効だ」という高等裁判所の判決に対し、本家フランク・ミュラーは、最高裁判所に上告(不服申し立て)をしたようです。