【ご相談内容】
私には、元夫との間に、小学生の娘がいます。離婚するときに、元夫に娘を会わせるための条件を決めたのですが、正直、夫に娘を会わせたくありません。最初の頃は会わせていましたが、途中から会わせたくなくなってきました。 そのため、元夫は“娘に会わせろ”とウルサク言ってきます。このまま元夫の要求を無視してもヨイでしょうか?
A 夫婦には人それぞれの事情があるとは思います。しかし、単なる感情論、つまり、“ 私は元夫とはケンカ ( あるいは不倫など ) が原因で別れた。元夫に会いたくもない。当然、娘も会わせたくない ”という感情論だけで、元夫に子供を会わせないという対応は、慎んだ方が良いと思います。
Q 最近は、《 子供に会わせる会わせない》というトラブルが増えているらしいですね?
A 一昔前は、《親権者を誰にするか》という話が多くありました。現在は、父親、母親それぞれのライフスタイルや生活環境、経済状況などの違いの影響もあり、親権者を決めた後の、むしろ《養育費や面会交流》の話が相対的に増えてきています。
つまり、父親・母親のどちらが親権者になるかという問題は、意外にあっさりと結論が決まり、離婚後の養育費や面会交流の具体的方策に焦点が当てられるケースが増えているということです。
Q 面会交流でトラブルが生じる場合には調停をするんですよね?
A 夫婦当事者間の話し合いだけで決まれば良いですが、ダメなら、裁判所を利用することになります。
頭に入れておきたいのは、裁判所(調停委員会)側のスタンスです。
夫婦にはそれぞれの事情がありますから、今回のご相談者のように、母親が子供を父親に会わせたくないという感情論について、裁判所の方々は、一応、同情は示してくれます。しかし、たとえケンカ別れしたとしても、“ 子供の今後のことについては元夫・元妻はできるだけ協力していくべきだ ” という観点から、子供と父親間の面会交流の実現に向けた丁寧な説明を受けることになるでしょう。
Q つまり、父親に子供を会わせるのを拒否するのは難しい、ということですか?
A よっぽど父親がヒドイ人物でない限りは、一定の頻度で一定の時間中、子供と父親が触れあうことは拒否できないと思った方が良いと思います。せっかく夫婦の間で決めた面会交流の取り決めを、頑なに正当な理由もなく拒み続けてしまいますと、“(ご相談者側が) 子供の健全な成長・育成を真剣に考えていない ” ということで、親権者が父親に変更される可能性もあるんです。
(平成27年2月25日付要チェック!をご参照下さい)
文責 弁護士 和田 拓郎