後見人も万能ではない!? 

【ご相談内容】

入院中の私の父親はあまり意識がはっきりしていないので、息子である私が後見人になることになりました。入院先の病院から、“あらためて、お父様の治療に関する同意書をとりたい“と言われています。後見人である私が、父の代わりに同意書にサインをしてもよいのでしょうか?

Q 後見人ってなんですか?

A 高齢になって認知症になったり、その他外傷性疾患や精神疾患によって、判断能力が衰えてしまった人を法的にサポートする人の名称・役割です。ごく一般には、その人 ( 被後見人 ) の子供達や親族が、後見人に就任することが多いですね。

Q 後見人になったら、どういう仕事をするのですか?

A 一番のメインは、その人の財産管理。判断能力が乏しいが故に、せっかくの財産を無駄遣いしてしまったり、何かの支払をするのを忘れたり、その人の財産を狙おうとする身内や外部の悪徳業者に巻き込まれたりしないようにするために、後見人がその人の財産を管理します。

あと、今回のご相談にも関連しますが、入院施設や介護施設に入居・転居する場合に、その入院契約書とか入所契約書などにサインをしたりすることもあります。

Q そのため、病院から“同意書にサインをしてくれ”といわれているのですね?

A そう。ただ、実は、ものすごく難しい問題を含んでいるんです。

後見人が、本人に代わって、サインをしなければならない同意書・書類はいっぱいあります。その中でも、例えば、手術を予定する場合の同意書。これを本人でもないその後見人 ( 家族・親族 ) が勝手にサインをして良いのか ? という問題があるんです。

Q 手術をするということは、後見人ではなく、まさに本人 ( 被後見人 ) の体をメスで傷つけるからですね?

A そういう本人 ( 被後見人 ) の身体に危険が及ぶ行為を、本人でなくてナゼ親族や後見人同意 ( 書 ) で済ませることができるのか?という根本的な問題が解決していないんですね。そこまでの権限あるの??ってことです。

だからといって、手術をしてもイイですよという同意書がないと、なかなか病院側も手術をしてくれなかったり、入院を受け容れてくれなかったりするケースが増えますし、受け容れてくれないとなると後見人 ( 親族側 ) も困ってしまう・・・。

Q つまり、お医者さんの側も、ご家族の側にも、不幸な事態になってしまいますね!?。

A そこで、ひとまずは後見人(親族)の側で、事実上、同意書にサインをします。いや、サインした方が良い。

その上で、後は医療機関と後見人(親族)側とのチームプレー、協力関係の中で一つ一つの問題を話し合って解決していく他、現在の法制度のなかでは、方法論が無いのです

文責 弁護士 和田拓郎

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