ラジオ相談

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本稿は、ラジオリスナーの皆様へ、わかりやすく法律問題を解説した放送内容を書き起こしたものですので、性質上、言葉の引用に正確性を欠く部分もありますこと、ご了承下さい。
  • 大事なモノが壊された・・・!(物損)

    2015年7月15日

    【ご相談内容】

    脇見運転の車が、私の家に飛び込んできました。車が突っ込んだおかげで、自宅周りの石垣がバラバラに壊れてしまいました。当然、修復してもらったのですが、継ぎ接ぎだらけで、見た目がボロボロです。私の家の石垣は、80年モノでして、私が幼い頃から見てきたモノです。ボロボロにされてとても悲しく、慰謝料も請求したいと考えてますが、いかがでしょうか?

     

    Q 思い出のある歴史ある石垣を壊されたのでは、とてもたまったものじゃないでしょうね?

    A 法律的に言えば、“愛着のあるモノを壊された精神的な苦痛を生じた”ということで【物に関する慰謝料請求】をお考えのようです。

    【物に対する慰謝料請求】が認められるか否かは、具体的な事情によりますが、一般論的に言えば、①慰謝料は認められない、或いは、②認められるとしても、1020万円という低額な慰謝料額になる可能性があります。

    Q なぜ、一般論的には慰謝料が認められにくいのでしょうか?

    A 端的に言えば、今回被害にあった対象が、「モノ」(物)であって、「人の命」ではないからです。

    人の命は、一度失ってしまったら甦りません。“もう二度と元には戻らない”という哀しみは、被害者や被害者遺族が誰であっても、同じように抱く気持ちだと思いますから、その気持ちを慰めてあげる必要性が高い。慰謝する必要が高い。

      これに対して、「モノ」(物)が壊れてしまった場合、人によっては、“修復すれば元に戻るじゃない”“とりあえず似たような物ををどこかから探してくれば良いじゃない”という楽観的な考えをお持ちの方もいるでしょうから、誰もが落ち込むほどに悲しむとは限らないんですよね。だから、必ずしも慰めてあげる必要があるとは言えない。つまり慰謝する必要が無い・・・。

    Q ただ、【物に対する精神的慰謝料】が認められるケースもあるようですね?

    A はい。その所有者にとって非常に思い入れや愛着があって、元の状態に戻らないことで精神的に穏やかでなくなるような特別な状況というのをしっかりと説明できれば、金額は僅かでしょうけれども慰謝料が認められるケースもあります。

    “特別な思い入れ”が重要なのですね?

    A そうです。例えば、今回の場合は、石垣でしたが、もしこれが先祖代々受け継がれた石碑や記念碑であった場合、石垣に比べたら、“特別な思い入れ”があったと説明しやすいでしょうね。

     

     

     

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